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2020.01.25

佐藤研一郎 ローム株式会社名誉会長のご訃報を受けて

 『若手音楽家がオペラを学べる環境を作りたい』と、小澤征爾が思い立った時、この壮大な野望に真っ先に賛同して下さったのが、ローム株式会社の創業者であり、当時の社長だった佐藤研一郎氏でした。音楽に並々ならぬ情熱と愛情をお持ちだった佐藤氏は、小澤の信念に共鳴し、小澤征爾音楽塾設立の2000年から2020年の現在に至るまで、ローム株式会社、そして公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーションを通じて、継続的に多大な支援をして下さいました。

 小澤塾長が最後に佐藤氏にお会いしたのは、2019年3月の小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVII ビゼー:歌劇『カルメン』京都公演の客席でした。佐藤氏はいつものように温かく、にこやかに塾長と談笑し、オペラ・プロジェクトの公演に拍手を贈って下さいました。

 ローム株式会社、公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション、そして佐藤研一郎氏の恩恵を受けて世界に羽ばたいていった音楽塾生たちは1,000人を超えます。音楽塾が支援する若手演奏家の枠組みをアジア圏に広げるべきだと提唱して下さり、「永く続く教育プロジェクトであって欲しい」という想いを込め、“小澤征爾音楽塾”と命名して下さったのは、他でもない佐藤氏でした。我々はこの想いを受け継いで、今後も多くの優れた音楽家たちが、小澤征爾音楽塾から世界へ巣立っていくことを願っています。

 塾長と佐藤氏は、音楽への愛という、太く揺るがない絆でつながっていました。
ご訃報を受け、塾長は泣きながら言葉を紡ぎました。

—こんなに悲しいことはないです。悲しくて言葉が出ない――。

佐藤研一郎氏のご冥福を、小澤征爾音楽塾一同、心よりお祈り申し上げます。

2020年1月25日
小澤征爾音楽塾

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